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第3部 第15章 内閣

一、行政権と内閣  二、内閣の組織と内閣の権能  三、議院内閣制


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三、議院内閣制


1 日本は議院内閣制



日本は議院内閣制を採用しています。
議院内閣制とは議会と内閣とを強く結び付け民主的な政治を行なう制度のことです。

日本国憲法では内閣は国会に対して政治的な連帯責任を負わせています(66条3項)。

また国会に内閣総理大臣を指名させ(67条1項)、国務大臣の過半数を国会議員とすることとしています(68条1項)。

さらに内閣不信任の決議を行なう権限を衆議院に認め、衆議院を解散できる権限を内閣に認めています(69条)。

内閣と衆議院がお互いに解散権と内閣不信任決議権を武器に牽制しあい、国民の民意が反映できるしくみとなっているのです。

国民は国会の多数派を通じて、内閣の信任・不信任を政治的に問うことができます。
国民 ― 国会 ― 内閣 という結びつきを強くして民主的コントロールを行なっています。










日本国憲法の条文には明確に議院内閣制を採用している、という言葉は出てきません。

しかし、以下の条文規定(66条3項、69条、67条1項、68条1項、63条、70条、71条)から日本国憲法が議院内閣制を採用していることは明らかである、とされています。




2 衆議院の解散


衆議院の解散
とは衆議院議員の任期満了前にその全員の資格を失わせる行為のことです。

解散に続く総選挙によって国民に審判を求めます。国民の審判によって民主的コントロールがされているのです。



憲法69条に衆議院解散の規定があります。

しかしいつ、誰が、衆議院を解散することができるか、ということは詳しく規定していません。

内閣が解散されるのはこの69条の場合だけ(69条説)でしょうか。
それとも69条以外の場合でも解散できる(非限定説)のでしょうか。

通説では69条の場合以外でも解散できるとしています(非限定説)。

理由は過去の慣行や、民主的コントールを柔軟に行なうためには69条の場合だけに限定しないほうが良い、という考えからです。


憲法は7条3号で衆議院の解散権を、天皇の国事行為としています(3章三1参照)。

しかし天皇の国事行為はあくまで形式的なものです。よって誰が実際に解散を決定しているのでしょうか。

7条3号には、内閣の助言・承認に基づいて天皇が国事行為として衆議院に「解散!」と告げるわけです。

内閣の助言・承認権に根拠を求めることから、内閣が実際に衆議院の解散決定権を持っている、とされています(7条説:多数説)。


どんな場合に衆議院を解散できるか 69条の場合に限定されない(非限定説:通説)
だれが衆議院の解散決定権を持っているか 内閣(7条説:多数説)

【まとめ】
第3部 統治機構
第15章 内閣
三、議院内閣制

1、議院内閣制とは、議会と内閣とを強く結び付け民主的な政治を行なう制度のことである。

2、衆議院の解散とは、衆議院議員の任期満了前にその全員の資格を失わせる行為である。


                     ケンくんノート


第3部 第15章 内閣 三、議院内閣制 おしまい

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