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第2部 第12章 社会権

一、生存権  二、教育を受ける権利  三、労働基本権


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二、教育を受ける権利


1 学習権と国の責務



続いて教育を受ける権利について説明します。
憲法26条1項では教育を受ける権利を規定しています。

教育を受ける権利とは、国民が国等によって教育を受ける権利を侵害されず(自由権的側面)、国家に対して教育制度と施設を整え、適切な教育の場を要求(社会的側面)する権利です。

自由権的側面と社会権的側面を持つ複合的権利です。
教育を受ける権利の中で重要なものは学習権です。


学習権とは、国民一人一人が成長・発達するため自己の人格を完成・実現するために必要な学習をする権利のことです。

特に、子供の学習権とは自ら学習することのできない子供はその学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を含む、と解されています。

教育権とは教育内容や教育方法について決定する権利です。

旭川学力テスト事件では、教育権は国民が有するのか、それとも国家が有するのか、が争われました。
判例は、教育権は国民(親、教師)と国家の双方が有する、としました。


教師にも一定の範囲の教育の自由の保障があります。

国は教科科目や授業時間などの大綱を決定できますが、過度の介入はできない、としました。
繰り返しになりますが、教育権の所在を国民国家双方にある、としたのです。



2 義務教育の無償



26条2項後段は、「義務教育はこれを無償とする」としています。
これは授業料はかからないという意味です。

教科書代金負担請求訴訟では、教科書の代金を請求された保護者が、義務教育は無償とする憲法26条2項に反するのではないか、主張し訴えを起こしました。


教科書代金負担請求訴訟では、26条2項の「無償」とは、授業料不徴収の意味である、としました。
したがって授業料が無償になるだけで、教科書代等は無償にならない、としました。








現在では法律により教科書は無償で配布されています。






【まとめ】
第2部 基本的人権の尊重
第12章 社会権
二、教育を受ける権利

1、
学習権とは、国民一人一人が成長・発達するため自己の人格を完成・実現するために必要な学習をする権利のことである。

教育権とは教育内容や教育方法について決定する権利である。判例は、教育権は国民(親、教師)と国家の双方が有する、とした。

2、26条2項は、義務教育の無償を規定する。しかし、無償の範囲について判例は授業料の無償を定めたものと解する。

                     ケンくんノート


第2部 第12章 社会権 二、教育を受ける権利 おしまい

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